PBW『シルバーレイン』キャラクター籠乃宮・紗雫(b43941)のブログです。 銀雨PL以外はブラウザバックを推奨します。
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陽光に瞼を開ければ、気付かぬ間に溶けて消えてしまう。
夢の欠片。
夢の残り香。
そのひとひらを。
まずは壱枚。
夢の欠片。
夢の残り香。
そのひとひらを。
まずは壱枚。
ほああ ほああ
赤子の泣く声がする。
そんな気がして、眠ろうと目を閉じ下を向いていた彼は面を上げた。
青年…いや、まだ少年と言った方がしっくりとくる。
まだ頬に特有のやわらかさを残す少年は、馬車の中から外の様子を伺い見る。
暦は春に移り変わり、それでも冬の長いこの地域ではまだ雪のちらつく夜も多い。
今宵もそんな夜だった。
風が生き物のように唸り声をあげ、舞い散る雪がその形を表す。
強風に煽られてカタカタと窓が鳴る。
車をひく馬や、御者は大丈夫だろうかと思った刹那、屋敷の門扉の印が見えてきた。
門を支える左右の柱の上にはランプが灯り、硝子に守られて強風の中というのに、ゆらゆらと自由気ままに揺れている。
雪は段々と舞う量を増やし、本当に春が来たのか疑わしい程。
寒さに一度自らを抱くように腕をさすった瞬間、柱の前に立つ2人の門番は気付く。
馬の蹄の音が暗闇に響き、次第にその影、形を現す。
馬の背後に見える馬車に記されたその家紋を確認すると、2人は門を開けにかかった。
その様子を見た御者は馬を制し、徐々にスピードを落とす。
そんな瞬間だったからこそ、彼は見つけられたのかもしれない。
少々高い位置で、そして前方の安全に注意を凝らす御者の視界に入らぬ場所。
眼前を睨むように監視を続ける門番ですら、透視でも出来ない限りは決して見通せぬ裏側。
屋敷の門に通じる小路。
綺麗に整列した樹木の根元。
小さな白い…――
徐行していたとはいえ、彼は衝動的に動く馬車から飛び出した。
本能が告げる。心臓が早鐘を撃つ。
馬車の中にいたまま、外套も身につけず薄着のままで雪の降る夜。
自然と寒さは感じなかった。
最初に気付いたのは馬車の方を向いていた門番。
次いでその門番の驚愕の表情に視線を辿った御者。
「若様!」
「…っ!どぅ!」
門番は叫ぶ。御者も手綱を引くと同時に叫んだ。
ブルルッ、と馬は一度小さく嘶きその足を止める。
距離の差から、先に若君のもとへ着いたのは御者。
御者は若君がその腕に何かをしかと抱いていることに目を見張った。
「若様…まさか…」
それは小さな。
本当に小さな、異種族の赤子だった。
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プロフィール
HN:
籠乃宮 紗雫
年齢:
22
性別:
女性
誕生日:
2001/04/24
職業:
巫女×ナイトメア適合者
趣味:
歌。描。絵本。
自己紹介:
詳しくはリンク『か乃宮・糸少な』よりステシへどうぞ。MSNメッセあります。お気軽にお手紙でどうぞ。
→→→この画像は、㈱トミーウォーカー(TW)の運営する『シルバーレイン』の世界観を元に、㈱TWによって作成されたものです。イラストの使用権は作品を発注したお客様に、著作権は華谷百花に、全ての権利は㈱TWが所有します。←←←
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